陽の助流 わかりやすい認知症予防

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脳機能の中の、言語能力の低下を防ぐ、1番の予防方法はこれだ!

こんにちは陽の助です。

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以前は、障害の施設で自閉症高次脳機能障害について研究していました。

 今回は認知症予防の目的の一つ、主な脳機能5つの低下について「言語能力」をテーマに書いていきたいと思います。また、以前、携わった障害者施設での体験談などを含めて、分かりやすく解説できればと思います。

 

 まずは言葉の理解から、「言語能力」とは

 

 言語能力は、相手の言葉を理解し、言葉を用いて自分の意志を相手に伝える力のことを言います。

 

 私たちは、自分の思いや考えを言葉無しに完全に伝えることはできません。言葉を話せない赤ちゃんは泣くことで不快を伝え、周囲の人は経験からなぜ泣いているのかをおおよそ察することはできますが、毎回100%理解しているとは言えないでしょう。

 自分の意志を的確に伝えるため、他人とコミュニケーションをとるために重要となるのがこの言語能力なのです。

 

 言語能力の詳しい解説

 

 脳には言語に関わる部位があり、その部位を「言語中枢」といいます。

 

 言語中枢は、ブローカ中枢ウェルニッケ中枢に分かれます。ブローカ中枢は言葉を発する機能であり、ウェルニッケ中枢は話し言葉を聞いて理解するための機能と考えられています。

 

 たとえば、言葉を聞いて理解するには左脳にあるウェルニッケ中枢という感覚性の言語野を使いますが、話すときはブローカ中枢という運動性の言語野を主に使います。
※言葉を理解するため使うのはウェルニッケ中枢

 また、耳から入った言葉は聴神経を経て聴覚中枢にたどり着き、ウェルニッケ中枢に伝達されます。そこで言葉を理解しています。人の言う言葉の理解のみではなく、自分の頭の中の考えを言葉として組み立てることもおこなわれています。
※言葉を発するためや、自身で頭の中で組み立てるときはブローカ中枢

 

 つまり話そうとするときは、まずはウェルニッケ中枢が話し言葉の元となる文章の構成をおこない、弓状束という神経経路を経由してブローカ中枢に伝達されます。

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言語中枢のイメージ

 


 言語能力は脳機能のひとつで、認知症ではこの言語中枢が障害され言語能力の衰えが見られることがあります。

 

 言語能力が衰えると

 

 言葉を話す、話を理解する、文字を書く、文字を理解する、といったことが困難になる失語症を招くことがあります。

 

 失語は大きく「感覚性失語症「運動性失語症に分けられます。

 

 感覚性失語は、言葉は流暢に話せても相手の言っていることや文章が理解できないのが特徴です。

 

 運動性失語は感覚性失語とは逆で、相手の言っていることや文章を理解できても
自分で言葉を発したり文章を書いたりすることが困難になるものです。

 

 脳の働きから分析すると

 

 ブローカ中枢は話すために必要な運動を発語器官の筋肉に伝達し、言葉として発します。その間、ウェルニッケ中枢は発話に関わる筋肉の動きを監視し、言葉が正しく伝わっているかどうかを確認します。


 これら言語に関わる中枢や周辺領域が損傷を受けることによって、”失語症”を発症すると言われています。

 

 言語能力を強化するには

 

 例えば、相手が言っていることを理解するのに時間がかかったり、文章の内容がなかなか飲み込めなかったりなど、言語能力の衰えを感じたら、言語訓練を行いましょう。

 

 一般的には言語能力を強化するには、ものと言葉を結びつける訓練が有効と言われています。

 まず、ものが描かれたカードを数種類用意します。そして、他の人にいずれかのものの名前を言ってもらう、もしくは漢字で書いてもらい、それが描かれたカードを選び出す、という方法です。漢字はその形に意味があるため、ひらがなよりも理解しやすいとされています。

 

 先ほどの方法とは逆に、描かれているものを漢字で書く、という方法も言語能力を強化する訓練になります。また、新聞のコラムなどの音読・書写も非常に有効です。こちらはひとりでも行えるので、ちょっとした空き時間ができたらこの訓練をやってみる、
という習慣をつけるとよいでしょう。

 

 ちなみに、前頭前野(言語中枢も含む)を活性化するさまざまな脳機能トレーニングを比較検討した結果、複雑なトレーニングよりは簡単なトレーニングの方が前頭前野を活性化することが近年の研究で発表されています。

 

 たとえば,<8-6>といった単純な計算が、<54÷(0.51-0.19)>といった複雑な暗算よりも、はるかに前頭前野を活性化することが実証されています。

 

 前頭葉を鍛えるのに「音読」がいい理由を分かりやすく表している実験もあります。

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前頭葉の活性化の図


 これは、福岡県大川市にある介護老人福祉施設特別養護老人ホーム「永寿園」の方々44人(70~98歳)の認知症の高齢者に対して行った実験です。

「考え」中
ビデオゲーム」中
「音読」中
図の赤い部分は、脳の血流が増加したときを表しています。

 

 難しいことを考えているときよりも、楽しいはずの「ビデオゲーム」よりも、「音読」の方が、前頭葉を含め、明らかに脳の血流が活性化しています。

 さらに、文章を読む活動の差についても研究し,黙読よりは音読が前頭前野を活性化するという研究結果もあります。

 

 実は認知症発達障害も「脳機能の不全」が原因

 

 脳の前頭前野(言語中枢含む)の脳機能の低下か発達の遅れがあるかの違いはあれど、同じ脳の部分が原因で幼少期に診断を受ける病気としてASDADHDがあります。

 

ASD自閉症スペクトラム障害)とは、発達障害の一つの分類で、社会性やコミュニケーションに困難を抱える障害です。 以前は自閉症アスペルガー症候群などと別々の障害とされていたものを、一つの連続した症状としてまとめた新たな分類方法です。

 

ADHDは、注意欠陥多動性障害とも呼ばれ、不注意(集中力がない・気が散りやすい)、多動性(じっとしていられない・落ち着きがない)、衝動性 (順番を待てない・考える前に実行してしまう)の3つの要素がみられる発達障害のひとつです。

 

 以前、私が勤めていた障害者施設の利用者の中にもASDADHDの診断を受けていた方がいました。そして、日々、前頭前野の刺激となるトレーニングやサポートを受け、将来の自立に向けて過ごされていました。

 

 私はこの時期に学んだ、障害者施設でノウハウを認知症予防にも使えるのではないかと考えています。介護、障害の違いはあれど、原因となっている脳の部分は同じと言う事で、現在、この分野の専門医の研究も進んでいます。

 

 まとめ

・言語能力は脳の言語中枢が管理している。

・言語能力が低下すると「失語症」などの症状が出てくる。

前頭前野(言語中枢含む)の活性化には「音読」が有効。

 

 今回は5つの脳機能の中でも「言語能力」について、解説していきました。また今回は紹介できなった内容で、障害者施設で実際に行われている言語能力の向上トレーニングや、その他の認知症予防で行われているトレーニング内容も今後、説明していきたいと思います。是非、続きも読んで頂ければと思います。

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最後まで読んで頂きありがとうございました。