陽の助流 わかりやすい認知症予防

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簡単! 判断能力を向上させる 認知症予防!

 こんにちは陽の助です。

 

 今回も前回に引き続き、生活の中で主に使われる脳機能の中で「判断能力」についてのトレーニング方法や、鍛えられる脳の部位などを中心に書いていきたいと思います。

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判断能力って何だろう?

 

「判断能力」とは

 「判断能力」はいくつかの脳機能が統合されたものです。

 その中には
・脳の中で検索して正解を求め、意識的な判断に基づく「判断力」
・好き嫌いに近い感覚を使って最適な選択を瞬時に引き出す「直感力」
・物体の状態や形状を把握する「空間認識」
・年月日や今の自分の状況を把握する見当識
・必要なことに集中する、一度にふたつ以上のものに注意を向けるなどのときに使う「注意力」
・ものごとをグループに分けて考える「グルーピング」
などが含まれます。

 

 一般的には「判断力」という言葉を使うときには、「私の上司は判断力がある」「あのチームのキャプテンは判断力に優れている」など、ものごとを決定する力を意味していることが多いですが、厳密にいうとこれは判断能力を基に決断する「決断力」になり、判断能力とは異なります。

 

 脳機能における判断能力とは、外出して今自分がどこにいるのかを把握したり(見当識)、テレビを見て理解しながら食事をしたり(注意力)など日常の中で働くものを指します。

 

 厳密に説明すると「判断力」と「直感力」は違う

 一般的に「判断力」と「直感力」の違いとは
「判断力」は時間をかけて導き出した考えや行動と言われています。
一方、「直感力」はごく短い時間で導き出した考えや行動と言われています。

 

 脳科学的に言うと
「判断力」とは、ある程度、意識的に答えを導き出したものであり、
「直感力」とは、ほぼ無意識的になんらかの決定ができるものと考えられています。

 

 ポイント
 脳科学的には判断力と直観力の違いは、答えを導き出す時間ではなく、意識的か無意識的に判断したかによって区別されています。そして、「判断力」と「直感力」では、脳が活動する場所も違うと言われています。

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判断力と直感力の違い

 

 判断力と直観力の違いについて、将棋を使った実験では、指し手に一定の時間を与えて、次の一手を考えてもらい、その人たちの脳を調べると、前頭葉という、思考、計画、知的な判断をする部位の活動が最も高まってきました。これは、羽生善治さんのような名人・上級の人や、素人でも共通しています。

 逆に時間を短縮した早ざしの状態にし、瞬間的に次の一手を決めてもらう実験に切り替えたところ素人クラスの方々は、前頭葉の活動がさらに盛んになってくるのですが、名人・上級をふくめプロクラスの人たちは、前頭葉の活動が小さくなり、線条体という部位がぐんぐん活動を高めていきました。

 

 「線条体」とは

 脳の中でも、あまり聞き慣れない部位ですが、一体どんな機能や役割があるかというと、たとえば私たちは卵を割らずにそっと握ることができます。また、一度乗り方を覚えれば、自転車だって転ばずに乗れるようになります。「線条体」は、こうした人の無意識的な行動の運動調整に関わっていると言われています。

 

 また「線条体」には側坐核(そくざかく)」と呼ばれる部分があり、この部分は、人の快感に関わるドーパミン神経系と強く結ばれていると言われています。

 

 つまり、線条体で『無意識的な行動』と『快感』が結びついている為、人は特に意識せず簡単にできることに対して、「気持ち良さ」を感じると言われています。
 ひいて言えばは、それが「やる気」にも繋がると言う考え方の人もいます。

 たまに、「線条体」に刺激を与える事で「やる気」を引き出すトレーニングなどの本も見かけるのはこの考え方が基になっているのだと思います。

 

 また「線条体」は古くから運動にかかわることが知られていた部位です。特に運動のスイッチ、これからどういうふうに動くか(直感力)といったタイミング設定をしている脳の部分と考えられていました。最近では線条体の腹側には、快感の中枢である側坐核があり、運動や行動と「快感」(やる気)のマッチングをしている脳の部分とも言われています。

 

 ちなみに、将棋の早ざしの実験では、線条体の活動が高まってくるプロクラスの人たちの中でも、プロの入り口の棋士と、名人クラスでは明らかな線条体の活動の差が出ていました。
 もちろん、名人クラスの方が線条体の活動が多く、これはおそらく、経験の差から、
線条体に組み込まれている神経ネットワークが圧倒的に高度化しているからと考えられています。

 

 「判断力」と「直感力」の違いまとめ

 脳の中で検索して正解を求め、意識的な判断に基づくものが「判断力」であり、経験を積み重ねていくことで、成功、失敗のタグが貼り付けられ、そのタグを利用して、「なんかいい感じ」「なんか嫌な感じ」という、好き嫌いに近い感覚を使って最適な選択を瞬時に引き出す、これが直感的な判断が「直感力」ということになります。


 「判断能力」が衰えると

 判断能力は脳の前頭葉という部分が機能することで働きます。前頭葉は、病気や外傷、加齢による脳の老化などでその機能が低下することがあります。前頭葉の機能低下によって判断能力が衰えると、社会生活を営むうえでさまざまな問題が起きやすくなります。

 

 例えば、時間や季節がわからなくなったり、今いる場所が把握できなくなったりする「見当識障害」は認知症の特徴的な症状でもあり、「徘徊」などの主な原因と言われています。(「徘徊」という言葉は現在、認知症患者の方々から不適切との声が上がっており、現在は「一人で外出が困難な状態」という言葉使いに差し替えている新聞会社もあります。)

 注意力が低下する「注意障害」では、ものごとに集中できずぼんやりしてミスが多くなります。さらに、判断能力が衰えると正しい判断ができなくなるため、社会のルールを守ることが難しくなる事もあります。度々交通違反をしてしまったり、店のものをお金を払わずに持って帰ったりしてしまうこともあり、そのため、認知症患者が犯罪や事故に巻き込まれてしまうケースもあります。

 

 判断能力を強化するには

 一般的には、「判断力」の強化には散歩が効果的といわれています。できるだけ行く場所や道順を変え、新鮮さを取り入れながら歩き、様々な視覚、聴覚、嗅覚的等の刺激を感じる事によって、前頭葉の活性化を図ります。迷子になるかも…と不安がって外出を抑える事は脳へ刺激が与えられずかえって状態を悪くさせてしまうことがあります。
(1人で外出する場合は、介護保険適用の居場所がわかるGPS機能つき商品も現在はあります。)
 また、ストレスを感じない程度に、カレンダーや時計を確認し、日時を頭に入れるように意識する事も効果があると言われています。

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散歩は刺激がいっぱい

 「空間認識」を鍛えるには、目を閉じて作業を行う事が効果的と言われています。本をそろえたりリモコンを操作したりといった普段何気なく行っている作業も目を閉じると難しいものになります。特に、目を閉じたまま字を書くことは難しく、これだけでも簡単に手の感覚に集中するため注意力強化にもつながります。

 その他にも、判断力、直感力、見当識、空間認識、注意力、グルーピングのトレーニングは様々あります。
 今回は深くトレーニング方法は紹介しませんが、需要があれば詳しく、画像などを添えて記事を書いて行きたいと思いますので、興味のある方は是非コメントを下さい。

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最後まで読んで頂きありがとうございました。