陽の助流 わかりやすい認知症予防

知れば納得!不安が安心・やる気に変わる予防教室!

こんにちは陽の助です

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今年こそは、20代の体を取り戻すべく、ダイエットに奮闘中の30代です。

 

 

 1 はじめに 

 先日、認知症予防教室の参加者の方から「賢い仕事の人ほど将来、認知症にかかりやすいって聞くんですが本当ですか?」という質問がありました。意外と同じ質問を他の参加者の方も聞くので、都市伝説化しているかなと思いました。

 

 実際、認知症とストレスには大きな関係があります。質問では、賢い仕事の人の定義が曖昧でしたが、「気苦労の多い、責任感のある仕事をしていた人」と定義した場合、あながち認知症との因果関係はあると思います。

 

 今回は認知症とストレス」をテーマに「気苦労の多い、責任感のある仕事の人が認知症にかかりやすい理由」を記事で書きたいと思います。

 

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認知症とストレスの関係性について

 2 ストレスについて

 一般的に、ストレスとは、外部から刺激を受けたときに生じる緊張状態のことです。
外部からの刺激には、天候や騒音などの環境的要因、病気や睡眠不足などの身体的要因などの物理的なストレスと、不安や悩みなど心理的な要因、そして人間関係がうまくいかない、仕事が忙しいなどの社会的要因などの心理的なストレスの2種類があります。

 

 2-1 物理的ストレスと心理的ストレスを比べてみたら

 実験


ここに2匹のマウスがいます。
左のマウスには時々、微弱の電気が流れてマウスにショックを与えます。
右のマウスには何もせず隣の様子が分かるようにだけにします。


つまり物理的ストレス(左マウス)と心理的ストレス(右マウス)の

違いにより、ストレスホルモン放出量を調べる実験を行いました。

 

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ストレスホルモンが多いのはどっち?

 2匹のマウスには申し訳ないですが、、、。

 実験の結果、どちらのマウスの方がより、ストレスホルモンを多く放出したかという実験結果ですが、皆さんはどりらのマウスの方がよりストレスを感じたと思いますか?

 

 結果

 電気ショックを与えられた左のマウスは、初日こそストレスホルモン放出されまくりでしたが、だんだんとその痛みのも慣れてくる事が分かりました。
 しかし、その様子をずっと横で見ている右のマウスは、最初こそあまりストレスホルモンは出ないものの、いつその状況が自分にもそれが来るのだろう?というストレスがずっと続くせいで、ストレスホルモンが減ることはなかったという事が分かりました。

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心理的ストレスは徐々に増えるが、物理的ストレスは慣れる事が分かった

 どうでしたか?皆さんの予想どおりでしたか?個人的には最初、この実験結果を観たときは意外な感じがしました。「どう考えても、突然電気ショックを受け続ける方が、ストレスを感じるやろ」と予測していたのですが・・・。

 

 しかし、よく考えると納得も出来ました。日頃、認知症予防教室の参加者の方の中にも「足腰や、関節が痛い」と仰る方も多いですが「今は大丈夫ですか?」と聞くと「もう慣れたわ」と仰る方も多いことを思い出しました。

 

 人間も最初は痛いと誰でもストレスを感じますが、それが慢性化すると徐々に慣れてくるのかも知れません。また、それとは逆に、学校の先生や公務員の方の仕事は、生徒や住民の方に対して、日頃から細心の注意を払って仕事をしている方が多い様に見られます。

 

 テレビでは頻繁に「教師や公務員の不祥事」が取り上げられ、一般のサラ―リーマンでは取り上げられない内容でも聖職者である教師や公務員の方のスキャンダルは、こぞって各マスコミが取り上げられます。これって右側のマウスの様に見えませんか?

 

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マスコミ怖い!

 

 2-1-1 ポイント

 物理的ストレスよりも、心理的ストレスの方が、ストレスホルモンが放出される。

 

 3 まとめ

 参加者さんかの質問「賢い仕事の人の方が、将来、認知症にかかる可能性が高いの?」という質問の答えですが、正確に言うと、賢い仕事をしていても、心理的ストレスを感じ難い、自身の好きな研究に没頭する研究者の方は発症のリスクが低いことあります。

 

 大切なことは、どんな仕事に就いていても心理的ストレスを感じ過ぎないことが重要な部分になってきます。近年の研究では「ストレスが脳細胞の減少を引き起こす」という報告も上がって来ています。

 

 なので、日頃、私たちが行っている認知症予防教室でも、このストレスケアの概念から、基本的トレーニングは嫌々やることは逆効果になる為、自身で「楽しくチャレンジできる範囲」で行うようにスタッフの見守りの元、適切な負荷を目指して、認知症予防を行っています。

 

 人間誰でも、好きな事、嫌いな事、興味がある事、ない事は十人十色です。認知症予防の大事な概念として、ストレスケアを行わず、一律にトレーニングを進めてしまうと、効果の出る人もいれば、逆に脳細胞を壊している人もいるかも知れません。

 

 実際、この状態を理解せずのにトレーニングを行って、余計に認知症の進行を早めている人を私は今まで何人も見てきました。なので、今後、少しでもこの記事を読んで頂き、自分にあった認知症予防の大切さに気が付いて頂ければと思います。

 

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最後まで読んで頂き有難うございました。

 

認知症 基礎講座 「診断のタイミングや診断内容・治療や予防」について

こんにちは陽の助です。

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本日は認知症予防教室にてQ&A方式の勉強会を行いました。

 

 今回も前回に引き続き、認知症基礎講座と位置づけ、認知症の診断・治療・予防」について記事を書きたいと思います。

 「最近物忘れが多いですけど、これって認知症ですかね?そろそろ病院へ行った方がいいですか?」という質問を、予防教室に来ている参加者さんから聞かれることがあります。なので先ずは、「病院へ行くタイミング」について説明したいと思います。

 

 1 認知症の診断について

 

 認知症の早期発見、早期治療はその後の認知症の人の生活を左右する非常に重要な事です。個人的には、まだ早いかなぁと感じているうちからの早期受診をお勧めしますが、「いきなり病院へ行くのも勇気がいるしなぁ」という気持ちも分かります。

 1-1 受診のタイミング

 なので、「受診のタイミング」について、お勧めしたい事が「老化による脳の不調ではなく、急激に何かしろの疾患による不調を感じた場合」は受診をお勧めします。

 

 具体的な「脳の不調」とは、例えば半年前までは普通に、仕事や家事が出来ていたのに、急にケアレスミス(注意力が散漫)や、忘れ物が多くなり、仕事や家事に支障が出ている状態が続く場合など、ポイントは急に今まで出来ていたことが難しく感じるときは「受診のタイミング」です。

 

 ちなみ、徐々に仕事や家事や難しくなる状態は誰にでもあり、一般的には「老化による脳機能の低下」と言われています。誰でも脳も年齢を重ねるごとに、他の体の部分と同じく老化で働きが低下していきます。

 

 例えば、年齢と伴に顔のしわが増えた場合「先生、年々しわが増えてくるんですが病気ですかね?」と皮膚科に受診する人はいないと思います。しかし「先生、急に顔中がただれて痛いのですが」などの皮膚のが急変の場合は受診しますよね。それと同じだと思います。

 1-1-1 受診のタイミング まとめ

 認知症の診断について、受診のタイミングは急激な脳の働きの不調を感じた時。

 

 1-2 認知症の診察や診断の内容

 一般的に、認知症の初期の診断は難しいと言われています。その診察の内容ですが、CT、MRIは脳の萎縮の具合を観ます。脳血流検査は血液中の、情報を伝達する物質が正常かを調べます。記憶・知能などの脳機能を測定するテストを行い。その他、認知症と似たような症状を引き起こす身体関係の病気ではないかという視点からも検査を行います。また、実際に脳機能の低下から、生活に支障が出ていないか、本人、もしくは家族からの聞き取りを行い。総合的に認知症の診断を行うと言われています。

 

 2 認知症の治療について

 認知症の種類の説明の際に、認知症には様々な種類があり、症状は様々と説明させてもらいました。なので治療法も様々なわけですが、今回は一般的な病名でアルツハイマー認知症について説明したいと思います。

 

 2-1 アルツハイマー認知症の治療について

 早期の場合は、投薬による治療によって進行が遅らせる事が出来ます。なので初期から使い始めると健康な時間を長くすることは可能になります。

 また、非投薬療法としては、認知症に対する家族や支援者の理解や、環境整備によって、健康な時間を長くすることが可能になります。

 

 2-1-1 ポイント

 アルツハイマー認知症の治療としては、投薬療法の場合、なるべき早期からの投薬が有効的と言われています。

 また非投薬療法におきましては、本人の生活環境により、健康な時間の長さが変わって来るため、家族や支援者の認知症に対する知識が必要となる。

 上記の通り、現在の状況ではアルツハイマー認知症完治はなく、緩和的治療が主になります。

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早期発見、早期治療が大切

 

 ちなみに、脳血管性認知症などは、治療可能な認知症と言われています。また、投薬や身体活動を高めるリハビリによって、脳梗塞や脳血管性認知症の原因となる病気の再発防止により、進行を止める可能性も高いと言われています。

 

 3 認知症の予防について

 医学的には認知症の発症のリスクを少なくする事と言われています。

 

例えば

 

脳血管性認知症の予防の場合

高血圧症、高脂血症、肥満などの対策が有効です。

 

アルツハイマー認知症の予防の場合

運動、食事をはじめとする生活習慣病対策には、発症を遅らせる効果があると言われています。

 

老化による脳機能の低下予防の場合

脳や体を使わない「廃用」状態は認知症の発症や進行を加速させます。

 

「全国キャラバン・メイト連絡協議会」が発行している、「認知症サポーター養成講座標準教材」には書かれています。

 

 3-1 個人的には認知症の予防について

 また、上記とは別に個人的には予防教室などでは、もう少し具体的な「予防の定義」が必要と思い考えた結果以下の内容になりました。

 

 認知症の予防とは、(どんな認知症であっても)「自身の年齢以上に脳機能の低下があり、生活に何らかの支障が出ていない状態にならない事」と定義させてもらいます。

 この考え方は、認知症の基礎講座からは外れる内容かもしれませんが、実際には現場で説明する時は、大半の方が納得して頂ける内容かと感じています。

 

4 まとめ

 今回は認知症の診断・治療・予防」について、一般的な内容をベースに記事を書きました。正直、現在、世間一般に説明されている認知症についての基礎知識は、医学的な見解が大きく反映されており、実際の現場で役に立つかと聞かれると、少しも物足りない部分があるのではないかと個人的には感じています。

 

 本当に「認知症」について考えるのではあれば、もちろん医学的視点も必要ですが、家族からの視点や、専門職としての介助者の視点も研究しながら考える必要があると思います。

 

 最後に

 今回で認知症に関する基礎講座編は最後になります。ざっくりとした説明でしたが、分かって貰えましたでしょうか?何か疑問や質問ありましたら、お気軽にコメントを下さい。次回からは、認知症予防に関する、「ストレスと認知症の関係」について記事を書きたいと思いますので是非続きも読んでみて下さい。

 

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最後まで読んで頂き有難うございました。

 

認知症基礎講座 「認知症の症状」 中核症状とBPSDを知ろう

こんにちは陽の助です.

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今日は自治体の障害者福祉センターへ勉強に行ってきました。

 

 

1-1 認知症の症状

 今回も認知症基礎講座の続きで、認知症の症状について、解説していきたいと思います。ひとえに、症状と言っても、前回紹介した4大認知症の特徴の様に、病気によって様々な症状も出てきます。先ずは今回、紹介する症状とは認知症全般に現れる症状」と理解して頂ければと思います。

 

1-2 中核症状について

 中核症状とは、脳の機能低下が原因で直接起こる症状と呼ばれています。一般的には記憶障害、見当識障害、理解、判断力の低下、実行機能の低下などが挙げられます。

 

1-2-1 記憶障害とは

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え~と、思い出せないな

 疾患により、記憶を司る脳の海馬大脳という部分の機能が低下する事により、生活に支障がでている状態。

 

 具体的には


・日付の感覚が曖昧になり、服薬などの管理が困難な為、家族や介助者が服薬管理を行っているケース。


・食事を取った行為自体を忘れ、何回も食事を取ってしまう事がある為、家族や介助者の食事提供が必要なケース。


・家族や知人の顔を見ても、名前が思い出せず、周囲の介助者に名前を教えてもらう必要があるケース。


などなど、短期記憶・長期記憶ともに機能が低下したことにより、周囲の介助が必要となる状態を「記憶障害」と言います。

 

1-2-2 見当識障害とは

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あれ?道に迷ったぞ

 疾患により、前頭葉の機能が低下する事によって「今は何時何分で?ここは何処か?あれは誰か?」を認識する能力が低下し、生活に何らかの支障が出ている状態を見当識障害」と言います。

 

 具体的には


・時間の感覚が曖昧となり、デイサービスのお迎えや、決まった時間に行動を始める事が難しくなり、周囲の介助者による、声掛けや誘導が必要となるケース。


・場所の感覚が曖昧となり、自宅に居る時も「ここは病院か?」など違う場所にいると勘違いする事があり、その都度、周囲の介助者が声掛けや説明が必要となるケース。


・人の顔の認識が困難となり、家族でも「あなたは誰?」や「息子を夫」と勘違いする事があり、その都度、周囲の介助者が声掛けや説明が必要になっているケース。


 などが見当識障害」の例で挙げられます。また一般的には認知症の進行が進むにつれて、時間の感覚 → 場所の感覚 → 人の認識 の順に、分かり難くなってくると言われています。

 

1-2-3 理解・判断力の障害とは

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おや?どっちだろう

 疾患により、前頭葉の機能が低下し、生活全般で理解や判断が難しくなり、生活に支障が出ている状態。

 

 具体的に

・以前は車の運転中に時速60キロで標識を見ても理解できたが、判断力の低下が原因で時速30キロ以下でないと標識が理解できず、運転に困難さが出てきた為、家族や介助者が送迎を行うようになったケース。


・言語能力の低下により、以前はドラマや小説が好きであったが、最近は見てもストーリーが頭に入らなくなったり、誰かとコミュニケーションを取った話の内容が頭に入らず、生活に使用が出る為、家族や介助者の関わりが必要になるケース。


・計算能力の低下により、買い物の際に、おつりの計算が難しくなり、紙幣での支払いが多くなり、小銭が財布に貯める事や買い物自体が、困難となり、周囲の介助者の関わりが必要になるケース。


 などなど、判断力のスピードや、言語能力、計算力の低下などがあり、周囲の関わりが必要になっている状態を「理解・判断力の障害」といいます。

 

1-2-4 実行機能障害とは

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う~ん。悩むな

 疾患により、前頭葉の機能が低下する事によって起きる障害。頭の中で順序立てたり、効率的に作業を行ったり、一度に複数の作業を行う事が難しくなる状態。

 

 具体的に

 

・以前は味噌汁を作る時に、お湯を沸かせながら、出汁をとる準備をし、具材を着る事が出来たが、順序立てたり、一度に複数の作業を同時進行する事が困難となり、料理をしなくなった為、家族や介助者が調理を行うようになったケース。

 

・遠出をしたいと思った際に、以前は電車でどこまで行って、そこからバスに乗り換えて、徒歩で何分など、ルートを事前に考える事が出来たが、困難さが出てきた為、家族や介助者の付き添いが必要になったケース。

 など、事前に計画を立てて、行動を実行する事が難しくなり、周囲の介助者の関わりが必要なっている状態を「実行機能障害」と言います。


2-1 行動・心理症状(BPSD)について

 行動・心理症状とは、本人の性格、環境、人間関係、生い立ちなどの要因が複雑に絡み合い、精神症状や、生活に何らかの支障をきたす、うつ状態や、興奮、暴力などが挙げられます。

 

2-1-1 行動・心理症状の主な症状

 まず最初に理解して貰いたい事は、行動・心理症状は人によって、症状はバラバラです。その為、その症状の原因には本人の性格や環境、周囲との人間関係、過去の生い立ちなどの要因が複雑に絡み出ている症状です。

 

 その条件を踏まえて、主に出てくる症状としては、「不安・焦燥」、「うつ状態」、「幻覚・妄想」、「徘徊」、「興奮・暴力」、「不潔行為」などが挙げられますが、同じ症状でも、人によっては起る原因がバラバラの為、大事な事は、「個人を理解し、なぜ症状が出ているのか?」を考える事です。

 

 一般的にはこの、行動・心理症状(BPSD)は、適切なアセスメントと対応次第では治る可能性のある症状だと言われています。その個人の立場に立って、症状の原因を考える事が、解決のポイントとなります。

 

3 まとめ

 今回は認知症の症状」をテーマに中核障害と行動・心理症状(BPSD)の2種類の症状を解説していきました。

 中核症状・・・脳機能の低下が原因で、直接的に生活に支障が出る症状。

 BPSD ・・・個人の性格や環境、人間関係、過去の生い立ちなど様々な要因が絡み合って現れる症状。

 

 今回は認知症基礎講座と言う事で、簡単に説明させて頂きましたが、分かり難い部分があればお気軽にコメント下さい。

 

 次回は「認知症の診断・治療・予防」について記事を書いていきたいと思います。是非、続きも読んでみて下さい。

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最後まで読んで頂き有難うございました。

 

 

認知症の種類 基礎知識 「4大認知症」を知ろう

こんにちは陽の助です。

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日頃、認知症カフェや認知症家族の会に参加しています。

 

 本日は、認知症家族の会支部の「男性介護者のつどい」に参加してきました。男性ばかりと言う事で、ざっくばらんな話し合いから、介護保険制度、障害者総合支援法、医療保険、その他の社会保障制度まで幅広く、雑談を交えながらみんなで知識を深める会です。以前から、参加させて頂いているのですが、非常に楽しい会です。

 このブログでも様々な生の情報を発信していければと思います。

 

 認知症の種類

 今回は認知症に関する基礎講座の続きで認知症を引き起こす主な病気」の紹介を行いたいと思います。ひとえに「認知症」と言っても実は細かく分けると200~300種類あると言われています。そのすべての名前や特徴を覚えるとなると、すごく時間も労力も必要となる為、今回は全体の80%以上の発症率を占める4大認知症について解説していきたいと思います。

 

 アルツハイマー認知症

 

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アルツハイマー認知症 イメージ

 

 一般的に「認知症」と言えば一番最初に思い浮かぶ病名がこの「アルツハイマー認知症」ではないでしょうか?近年では「若年性アルツハイマー認知症と診断を受ける40代、50代の方も増えており、認知症は高齢者だけがかかる病気ではなく、誰でもかかる可能性のある病気だと言う事が知られてきました。

 

 アルツハイマー認知症の特徴

 記憶を司る海馬(かいば)を中心に、頭頂葉(とうちょうよう)まで。広範囲で脳が萎縮することによって起こります。

 主に記憶障害や見当識(日付や時間、場所などを認識する機能)障害、判断力の低下などの症状が現れます。

 

 レビー小体型認知症

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レビー小体型認知症 イメージ

 あまり、聞いたことがない病名かもしれませんが、近年、かなりの発症件数が増えている認知症の種類です。初期の症状がパーキンソン病と似ていることから、発見が遅れるケースもあります。

 

 レビー小体型認知症の特徴

 記憶を司る海馬から、視覚を司る後頭葉(こうとうよう)までの広範囲でレビー小体(特殊なたんぱく質によって神経伝達が障害される)が増えます。

 初期症状に幻視を訴えることが多く、睡眠障害が初発症状となることが多い。

 

 前頭側頭型認知症

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前頭側頭型認知症 イメージ

 

 この病名もあまり聞いたことがない名前かも知れませんが、近年増加している診断名です。名前の通り脳の前と横が主に脳機能が低下する病気で、記憶を司る海馬や大脳への影響は少なく、「記憶力」には脳機能の低下が診られ難いタイプの認知症です。

 

 前頭側頭型認知症の特徴

 人格を司る前頭葉(ぜんとうよう)と、言語を司る側頭葉(そくとうよう)が萎縮することによって起こります。
 感情のコントロールが困難となり思いのまま行動しようとする、言葉の理解が難しくなる、などの症状が現れます。

 

 *上記の3種類の認知症「変性疾患」タイプの認知症です。

 変性疾患とは、脳の細胞が疾患を理由に、老化よりも早く減少し、脳が委縮していくものです。

 

 脳血管性認知症

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脳血管性認知症 イメージ

 

 脳梗塞脳出血、脳動脈硬化などの脳の疾患により、脳機能が低下して起きる認知症です。また、疾患の程度によっては症状は一時的で治療可能な認知症とも言われています。

 

 脳血管性認知症の特徴

 脳梗塞脳出血など、脳内の血管に異常が起こることによって起こります。脳梗塞を多発した方が発症するケースが最も多く、脳血管障害の大きさが認知症の程度と関係してきます。

 

 認知症の種類まとめ

 上記に紹介した

アルツハイマー認知症

レビー小体型認知症

・前頭側頭型認知症

・脳血管性認知症

 以上の4種類が4大認知症と呼ばれ、全体の発症率の80%を占めます。その他の認知症は20%を約200種類以上の認知症で占めています。

 

 まとめ

 個人的には、一般の方々においては、認知症の種類の基礎知識としては、上記の4大認知症の名前や特徴を理解するだけで充分だと思います。

 実際には病院などで認知症の診断を受けた際に、病院の先生に「どんな認知症ですか?」と尋ねると「〇〇型認知症ですね」と教えてもらえるため、その病名について、その時点から更に、詳しく勉強をすることをお勧めします。

 最初から200~300種類の認知症の名前や特徴を勉強する事は凄く大変だと思うので。

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認知症を全部覚えるのは大変

 

 次回は認知症の基礎知識編にて、認知症の症状」をテーマに中核照症状と行動・心理症状について解説していきたいと思います。

 

 

 

 

認知症についての基礎知識講座!「老化」と「認知症」の違い

こんにちは陽の助です。

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認知症」って何なんやろと考え中の皆様に呼んで頂ければと思います。


 認知症の基本知識

 「認知症」と「老化」の違い

 認知症の後援会やセミナー、テレビ番組でよくある「皆さんは、こんな経験がありませんか?」と聞かれる認知症テスト、何か不安な気持になりませんか?「なんで、そんなこと聞くの?」「嫌だなぁ、事例と同じ症状だったら」って思ったりしますよね。

 

 安心して下さい。今から聞く質問は「認知症」かどうかを見極めるものではなく、誰でも体験する「老化による脳機能の低下」についての質問です。少し肩の力を抜いてお答えください。

 

 質問 ここ最近、同じような体験をしたことがありますか?

 

① 「隣の部屋に何かを取に来たが、あれ?何を取に来たんだろう?」と想い出せず、数分間、その場をウロウロし、「っあ!あれや!」と想い出す事がある。

 

② 「っあ!この人どっかで見た事あるけど、誰だろう?」とテレビ等で有名人の顔は分かるが、名前が出てこず、携帯やパソコンで検索してみた事がある。

 

③ 「あれ?今日って何曜日だったかな?」っと、ど忘れし、カレンダーや手帳で調べる事がある。

 

④ 「あ~、二度手間ばかりで全然、仕事がはかどらない」っと、以前は効率的に出来ていた仕事に時間がかかる様になり、イライラしてしまう事がある。

 

⑤ 「え~と、100g300円の牛肉の25%オフは何円かなぁ?」と考えた時、昔は暗算で出来た問題が、最近は紙に書かないと解けなくなってきた事がある。

 

⑥ 「最近、ドラマや小説読んでも全然、ストーリーが頭に入ってこないなぁ」と感じ、同じドラマや小説を何回も見たり、読んだりする事が増えてきた。

 

 *上記は老化による脳機能の低下が原因で起る事例です。

 

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結構あてはまるぞ

 

 認知症に対する、よくある思い違いと、認知症の定義

 私、個人の体験ですが、日頃、私は高齢者向けの認知症予防教室の講師を行っています。その活動中に、参加者さんから私に、上記の事例と同じ様な体験談が多いらしく「先生、私、認知症かな?」、「先生、そろそろ病院に行った方がいいかな?」と聞いて来られる方が何人かいました。

 

 また世間の認知症に悩む方々の中にも、同じ上記の体験を基にした「過剰な不安」
抱えている方が多いと思うので、はっきりと説明させて貰いたいと思います。

 

 「過剰な不安」と表現させてもらいましたが、具体的には上記の事例に全部該当したとしても、病院では認知症の診断を受けません。その理由としては、上記の事例は「老化」に伴う事例であり、「認知症」に対する病院での診断における定義が

 

 認知症とは「自身の年齢以上の脳機能の低下があり、生活に何らかの支障が出ている状態」と定義されているからです。

 

 つまり、上記の事例は全て最終的には自身で「困っていることを解決している」という共通点から「生活に何らかの支障が出ている状態」とは判断されないと言う事です。

認知症に対する「定義」については、詳しくはこちらを参照ください。

 

younosuke-yobou.hatenablog.com


 認知症の定義を知ればちょっと安心

 上記の説明で少し安心して貰えましたか?「「過剰な不安」は「認知症の定義」を理解すれば解決できる問題だと私は考えています。

 

 また、この「過剰な不安」を煽っているのが、最近、頻繁に報道されている、「認知症関係のテレビ番組」だと私は感じています。どの番組も自作した「ちょっとした改善方法や、いかにもそれらしい調査結果」を報道していますが、実際には、認知症のごく一部の調査や改善が見込める内容の報道ばかりで個人的には、「いかにも凄い事を報道してます感」が伝わり過ぎて失笑レベルで見ています。

 

 ちなみに「認知症予防の定義」を知らずに、認知症予防について「あぁ、でもない、こぅ、でもない」と悩んでいる人達が多い現状に目を向け、今後も自分なりに、地道な「認知症予防」に対する啓発活動が出来ればと考えています。

 

 脳機能の低下について

 また、認知症の診断は受けなくても、誰でも起る「老化」により、質問①と同じ様な物忘れの症状が増えてきます。

 

 具体的には、老化により「作業記憶」を司る「海馬」前頭葉という脳の部位の働きが低下していることが原因で、質問①と同じ様な物忘れの症状が増えてきます。

 

 「作業記憶」・・・何か行動しながら短い時間だけ記憶する能力。
 「海馬」  ・・・短い間、情報を記憶する脳。
 「前頭葉」 ・・・行動全般を司る脳。

 

 老化による脳機能の低下の主な原因は「脳細胞数の減少」が大きく関わってきます。人間の脳は誰でも20歳を過ぎると1日に10万個ずつ脳細胞が減っていきます。この話をすると「っえ!そんなに減ったら、もう私の脳は空っぽじゃない」って心配す方がいますが、心配ご無用です。

 

 実は人間の脳細胞20歳の時点で140億万個あると言われています。ちなみに20歳の時に140億万個ある脳細胞が、1日10万個ずつ減って、80歳では何個あるかというと?

 

 答えは
 1日10万個減少 × 60年(60年×365日=21900日)=21億9000万個の減少、する為

 80歳の平均脳細胞数は
 140億 - 21億9000万 = 118億1000万

 

 更に脳細胞が空っぽになるには?
 20歳 + (140億万個 ÷ 10万個 ÷ 365日) = 約403歳

 

 なので、「私の脳は空っぽや」とおっしゃる方には、「大丈夫ですよ、脳細胞が0になるまでには、、、笑。」と説明しています。

 

 今回のまとめ

 世間では「老化」と「認知症」の区別がつかずに、「過剰な不安」を抱えている人が多いですが、そんな不安を解消するためには、まず「認知症の定義」について学ぶことです。この学び無くして不安の解消はありません。

 

 認知症とは「自身の年齢以上に脳機能の低下があり、生活に何らかの支障が出ている状態」と覚えておいて下さい。

 

 次回は認知症の基礎知識として、認知症の種類」について分かりやすく解説していきたいと思いますので、是非、続きもお読みください。

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最後まで読んで頂き有難うございました。

 

 

 
 

脳機能の遂行力について、知る事から始める大切

こんにちは陽の助です。

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認知症の理解の為、家族、介助者、医師など様々な視点から研究しています。

 

 今日は認知症家族の会の、県代表の方の講演会に参加してきました。自身の経験から認知症の母を介護していく上で感じた認知症に対する専門的知識の大切さや、男性介助者が陥りやすい一人で抱え込んで、孤立化し虐待に発展してしまう危険性や、回避の仕方などを学びました。

 

 認知症について学ぶという意味では、認知症の発症後の母とのかかわり方でしたが
予防にも繋がる大切な部分が多かったと思います。特に私が聞いて心に残った部分は
認知症を患ってからの母のも、人生の中のほんの1ページなんです」という言葉でした。

 

 この言葉からは、今、目の前にいる母の行動を理解する上で、母の歩んできた道のりを理解する事が、それに繋がると教えて頂きました。私もその通りだなと思い紹介させて頂きました。

 

 そんな認知症ですが、ここ最近は認知予防として、脳機能の低下について生活で主に使われる脳機能5つを中心に言葉の意味や、その機能を司る脳の部分、活性化に効果的なトレーニング方法の紹介を行ってきましたが、今回は「遂行力」について書いていきたいと思います。

 

 まず最初に、遂行力とは言葉の定義

 ものごとを計画したり、順序立てたり、効率的に進められるよう優先順位をつけたりと、目的を成し遂げるために必要となる力が遂行力です。

 

 社会生活をする中で効率的に行動できるのは、この遂行力が働いているからです。仕事をするときはもちろん、料理など家事をするときにも遂行力が働きます。

 

 例えば、味噌汁を作る過程を想像してみて下さい。実際には目の間に味噌汁がない状態から皆さんは、鍋にお湯を沸かして出しを取ったり、お湯が沸くまでの間に、まな板や包丁を用意しネギや豆腐など味噌汁の具を切ったりします。そして、具を入れ味噌を入れる作業を行います。この作業は一度に複数の作業を同時に行い、時間的にも効率的な物です。

 

 遂行力が衰えると

 遂行力を働かせているのは脳の前頭葉という部分です。
 前頭葉は、医学的疾患や外傷によって障害を受け機能が低下することもありますが、加齢によって機能が衰えていくこともあります。前頭葉の機能低下により遂行力が衰えると、ものごとを順序立てて行ったり、複数の作業を同時に行ったりといったことが困難になります。

 

 前述した料理の例で言えば、包丁とまな板を用意しても、順序立てができないので次に何をしたらよいのかがわからなくなってしまう事があります。また、ふたつ以上の作業を同時に行う事が難しくなる為、お湯を沸かしながら野菜を切る、といったことも難しくなります。

 

 このほか、携帯電話の使い方がわからなくなや、券売機の使い方がわからず切符が買えない、安全に運転できない、など、遂行力の衰えは社会生活に大きな影響をきたします。また、自発的に動くこともできなくなるため、誰かに指示されないと行動ができない、といったことも起こります。

 

 遂行力を強化するには

 遂行力を鍛えるのに効果的とされているのが、ナンプレナンバープレース)といった数字パズルやロールプレイングゲームです。ただ、これらはレベルが幅広く、遂行力に問題がない人でも難しいものもあります。


 遂行力の状態に合わせたレベルのものを行うことが効果的です。こういったゲームやパズルがそもそも好きではないという人には、地図や時刻表を使って目的のものを調べるといった方法もおすすめです。今日一日のスケジュールをつくったり、献立を計画したりするのもよいでしょう。

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遂行力は効率よく順序だてて考える力です。

 

 どうでしたかでしょうか?簡単ですが認知症予防について、脳機能について主に生活で使われ、長谷川式テストやMMESテストで測定される記憶力、判断能力、言語能力、計算力、遂行力について紹介させて頂きました。

 

 認知症予防で大切な事は

 

 認知症予防の定義を考える事

 認知症予防とは「自身の年齢以上の脳機能の低下があり、生活に何らかの支障が出ている状態にならない事」

 

 ②脳機能の詳細を知る事

 長谷川式テストやMMESテストで測定される生活で主に使われる脳機能は記憶力、判断能力、言語能力、計算力、遂行力の5つ。

 

 ③各脳機能を司る脳の部位と働きを知り、自身の低下している部分を強化する事

・記憶力は前頭前野、大脳、海馬の働きが重要。

・判断力は前頭葉線条体側坐核の働きが重要。

・言語能力は言語中枢のブローカ中枢やウェルニッケ中枢の働きが重要。

・計算力は前頭葉の働きが重要。

・遂行力は前頭葉の働きが重要。

 ④脳細胞レベルで「細胞数(ニューロン)×結合数(シナプス)」で脳機能を考える

 効果的な認知症予防のトレーニングを行う為には、低下している脳を中心的に強化する必要があるが、トレーニングの際に、苦痛やストレスを利用者が感じて、脳細胞の減少が急激に進まないか注視しながら提供しなくてはいけない。

 

 無理やり、いやいや行うトレーノングではシナプスの再構築はできるが、それ以上に脳細胞が減少してしまうリスクがあり、結果的に脳細胞数×結合数がの数値が悪化してしまうケースもあるからです。

 

 ここの理論を知らずに、いやいや認知症予防のトレーニングを受けている高齢者の方を今まで何人か見てきた経験から「これは今後増えてくるかもしれないし、何とかしないといけない問題だと」感じ、私も認知症について勉強するきっかけになりました。

 

 ⑤生活に何らかの支障は、認定調査の第3・4群に該当しない様に対応していく。

 脳機能は年齢とともに誰でも低下していきます。その中でもう1つ、大切な予防は、具体的な支障の事例を知り、日々の生活や今後、事例の困ることがでない様に、創意工夫をして準備していく事です。

 

 例えば、誰もが加齢による物忘れ(短期記憶)はあります。しかし、一瞬忘れたとしても、メモに取ることや、目に見える形で想い出せる工夫をしておけば、生活に困る支障は少なくなります。重要な事は創意工夫して生活に困らない準備や、認知症の知識を認知症にかかる前に身に付けておくことです。

 

 この部分はなかなか、困っていないうちは想像すことは難しいと思いますが、認知症の勉強を重ねていくにつれてきっと分かってくる内容だと思います。

 

 最後に

 

 認知症予防は「知る事」から始まります。「今は必要ない」と言う方もいますが、必要と感じた時には、既に認知症が発症している状態で、進行を遅らせるための緩和治療的な予防になっていることが殆どです。

 

 脳細胞は20歳をピークに毎日10万個ずつ減少していくと言われています。その減少を補うために人間は様々な経験を積み、脳細胞と脳細胞の伝達繊維であるシナプスを構築する事によって低下を防いでいる常態です。

 

 もちろん、個人差はありますが新しい経験や発見が減っていく50代頃からは、このシナプスの構築スピードを脳細胞の減少が上回り、脳機能低下が始まると言われています。なので50歳を過ぎて「今は必要ない」と言う方はまずは脳の仕組みについて学ぶことをお勧めします。その後、「早いか早くないか」を判断して貰えればと思います。

 

 現在、日本では2025年には認知症と診断を受ける65歳以上の高齢者が20%以上に到達するという試算が出ています。認知症はけっして特別な病気ではありません。まずは全ての世代の一人一人がこの病気に向き合い、学ぶ機会が増えればと思います。

 

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最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

認知症予防に効く、計算力を高める、おすすめトレーニング!

こんにちは陽の助です。

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最近、ある自治体で「健康や学ぶ事」をテーマにコミュニティを作り始めました。

 今回は脳機能の中の計算力について、説明やお勧めのトレーニング方法を紹介して行きたいと思います。個人的には計算力はトレーニング効果が目に見えやすく、 行っている参加者さんも自身の向上や、維持を感じやすい脳機能の一つだと思います。

 

 計算力とは言葉の定義

 計算力とは、数を理解して計算する力のことを言います。 計算力というと算数や数学といった学問が思い浮かぶ方も多いと思います。「計算力を高めて数学に強くなる」などと言ったりもします。


 しかし、計算力はなにも勉強のときだけに使うものではありません。私たちは時計を見たり買い物をしたりなど、日常の中でも計算力を働かせています。特に、個人的には計算力が高い人というのは様々なごく単純な四則演算が頭の中で瞬時に暗算できる人だと思います。

 

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計算上手は貯金上手?

 

 計算力が衰えると

 計算力を司っているのは、脳の前頭葉という部分です。前頭葉は計算力のほかに、ものの状態や自分の状況を把握する力である「判断力」や、ものごとを順序立てて効率的に行う力である「遂行力」も司っている、認知機能において大変重要な部位です。

 

 前頭葉は、病気や外傷、加齢による脳の老化などによって機能が低下することがあります。前頭葉の機能低下による影響の中でも比較的早い段階から衰えが見られるようになるのが計算力です。

 

 認知症では、計算力の衰えも判断基準のひとつとなっており、認知機能を確かめるMMSEテストにも簡単な計算問題が含まれています。計算力の衰えが進行すると、小学校の最初で習うような簡単な足し算や引き算が難しくなると言われています。


 当然、日常生活にも支障が出てきます。家計の管理ができないばかりでなく、買い物もスムーズにできなくなることもあります。例えば、「合計320円になります。」とレジで言われても、320円が「100円玉×3枚+10円玉×2枚」ということがわからなくなってしまい、支払う小銭の計算ができないため、1万円札など大きなお札ばかりを使用することになり、小銭が異様に溜まっていくといったケースも見られます。

 

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頭の左側から見た人間の脳。前頭葉はおでこあたりです。

 計算力を強化するには

 計算力を強化するためには、一般的には、やはり計算をすることがもっとも効果的と言われています。簡単な足し算、引き算でもよいので、決められた時間内に計算をするというトレーニングを行いましょう。


 また、買い物もできるだけ自分で行う事がお勧めです。買い物をしながら合計金額を計算したり、おつりを自分で計算する、といったことが前頭葉を刺激し、計算力のトレーニングになります。

 

 そして、今まで計算力のトレーニングの研修やセミナーを聴いてきて、個人的に効果的だと感じたトレーニング方法は「学習療法」です。

 

 学習療法とは?

 

【学習療法の定義】

 学習療法とは、音読と計算を中心とする学習を、学習者と支援者がコミュニケーションをとりながら行うことにより、学習者の認知機能やコミュニケーション機能、身辺自立機能などの前頭前野機能の維持・改善を図るものです。

 

 また学習療法は、認知症を患った方の脳機能維持や改善、または認知症を予防するための非薬物療法です。学習というイメージから患者さんや、ご本人に難しい問題をやっていただいたり、勉強をさせたりして、脳機能を高める方法と勘違いされている方が多いと思いますが、、、

 

 実は全く違うものです。脳科学の研究から分かっていることは、難しい問題を解いたり、TVゲームをしたりすることでは脳は余り働かないのです。運動すると体が疲れる実感があるので、脳を働かせるときもハードなトレーニングが必要と考えるからでしょう。反対に、簡単な(8+3=)計算を素早く解いたり、文章を音読している時は年齢に関わらず、また認知症の方でも脳全体が活性化した状態になります。


 しかも長い時間取り組む必要もありません。それぞれで5~10分程度でよいのです。これら科学的に分かっていることを組み合わせ、認知症高齢者の脳機能維持や改善、さらには高齢者の認知症予防に用いるやり方を「学習療法」と言います。

 

 人間は人とコミュニケーションしている時も脳が活性化することが分かっています。
特に他の人から誉められたり、認められた言葉がけをされると一瞬で脳は活性化します。さらには目的をもって手指を使う行為でも高い活性度合が得られます。

 

 計算力まとめ

 

 計算力は日々の生活の中で欠かせない脳機能の中の1つです。この計算力は認知症の中でも初期に症状として表れやすい、生活上の何らかの支障です。

 

 その為、脳機能テストの長谷川式やMMSEの中にもこの計算力を測定する問題が組み込まれています。

 

 しかし、この計算力は、現場での感触としては「やればかなりの確率で向上します。」恐らく、脳の前頭葉の中では、以前張り巡らされていた、シナプスの再構築が、簡単な計算やコミュニケーションを通して、効果的に行われているのだと思います。

 

 なので、この種の「生活に対する支障の改善」を目指して、私たちは日々トレーニングを提案できればと考えています。このトレーニングを受けて頂き、「以前よりも生活が楽しくなった」と言って頂けるとすごく素敵ですよね。

 

 脳機能は各部位ごとに的確に刺激を与えられれば、必ずシナプスの再構築が行われます。その時に、注意しないといけない点は、シナプスの再構築に注視し過ぎて、頑張りすぎ疲れたり、ストレスを感じない事です。

 

 ストレスは脳細胞(ニューロン)の減少に大きな原因となると言われています。なのでトレーニングは長すぎず、楽しくストレスを感じない程度の負荷で行う事をお勧めします。今回は詳しく説明しませんが、今後「ストレスと脳細胞の減少の因果関係」についても書いていきたいと思いますので是非続きも読んでください。

 

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最後まで読んで頂きありがとうございました。