陽の助流 わかりやすい認知症予防

知れば納得!不安が安心・やる気に変わる予防教室!

細胞レベルで認知症予防がわかる。脳機能の低下について

 こんにちは、陽の助です。

 

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日頃は高齢者の方々の、脳機能の向上や維持を目的にトレーニングを提案しています。

 先日、職場で年に1度の予防活動イベントを開催しました。総勢80人以上の高齢者の方々が日頃の脳機能トレーニングの成果を競い合うオリンピックの様なイベントです。
 皆さん、真剣に競技に取り組んで頂き、一生懸命競い合うからこそ、勝った時の喜びも大きく、負けた時の悔しさも大きかった様子です。

 このイベントを通して高齢者の方々の今後の人生に、何らかの活力をもたらすきっかけになればと思い開催しています。

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けっこう本気のイベントですwww

 脳機能の低下とは?

 前回の記事では認知症(症候群)予防の定義について書きましたが、今回はその中の「脳機能の低下」について具体的に書きたいと思います。

 脳機能の低下のメカニズムが知れば、日頃のトレーニングにも活用でき、明確な理論のもと、効果的なトレーニングが行えると思うので是非、読んでみて下さい。

 

 認知症(症候群)予防の定義とは「自分の年齢以上に脳機能が低下があり、生活に何らかの支障が出ている状態にならない事」を意味します。

 

 脳細胞(ニューロン)数と脳機能

 いきなり専門用語が出ましたが「脳細胞」とは脳の中にある細胞だと思って下さい。人間の脳細胞数は約140億個あり、3~4歳で約90%が完成し、20歳でほぼ完成します。その後は、1日に約10万個の脳細胞が減少します。

 

 ちなみに、正常な成人の脳は、約1200~1400gあると言われていますが、
認知症の診断を受ける人の脳は、約1000g以下だと言われています。

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脳細胞(ニューロン)のイメージ

 

 結合(シナプス)数と脳機能

 またしても専門用語ですが、「結合」とは脳細胞と脳細胞を繋ぐ、伝達細胞だと思ってください。脳細胞数のピークは20歳ですが、脳機能のピークとなると話は違います。その原因はシナプス(結合)が関係しているからです。簡単に説明すると、脳細胞は単体では機能しません。いくつかの脳細胞が繋がって初めて力を発揮すると言われています。


 このシナプスの構築のピークを迎えるのは、約40代頃と言われています。そして、誰でもピークを過ぎた後、50代頃からシナプスの減少が始まると言われています。
 しかし、シナプスは刺激を与えることで再構築されるものであり、この特徴が認知症予防のトレーニングにおける具体的なメカニズムとなっています。

 

 脳細胞(ニューロン)と結合(シナプス)のまとめ

・減った脳細胞は増える事はないが、減ったシナプスは再構築可能。

・脳機能は簡単に言うと脳細胞数(ニューロン)×結合数(シナプス)で変わる。

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結合(シナプス)のイメージ

 

 前回の記事では、

 認知症(症候群)予防の定義は「自身の年齢以上に脳機能の低下があり、生活に何らかの支障がでている状態にならない事」と説明し
 具体的には「脳機能の低下を防ぎ、支障の早期予防、改善を図る事」を目的とすると説明をさせて頂きました。

 

 トレーニング理論はシンプルに


 日頃、私たちの認知症(症候群)予防教室では、上記の定義に基づき、参加者の年齢の平均脳機能を数値化し、参加者はその数値以上の結果を出すためのトレーニングを日々行っています。
 参加者からは、脳機能の項目別に自身の能力は今どの様な状態か目に見て把握できるため予防活動への取り組むモチベーションが持ちやすいと好評です。

 

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脳機能の低下は誰でもある

 

 なぜ年齢ごとの平均値をだすか

 

 脳機能の低下には、大きく分けると、加齢による脳細胞の減少疾患アルツハイマー、レヴィー、脳血管性などなど)の2種類があります。

 

 脳細胞の減少による「脳機能の低下」は年をとれば誰にでもあります。ここで、注意して考えて欲しいことは、「年を重ねるごとに、脳の働きが鈍くなる」と感じる事は病気(疾患)ではなく自然の摂理だと言う事です。

 

 例えるのであれば、人間、年を重ねるごとに誰でもシワが増え、老けていきます。このシワの増えに対して、「やばい、シワが増えたから病気かも?」と心配する人は居ないと思います。

 しかし、皮膚が急に赤くただれていた場合は「あれ肌荒れかも?」と疑って病院へ行く方もいるかもしれません。

 

 何がいいたいかというと、加齢に伴い徐々に進む脳の働きの鈍さは病気ではないと言う事です。本当に心配しないといけない症状は、急に脳の働きが鈍くなったり、自分でもおかしいと感じた時です。

 

 具体的に脳機能の向上や維持トレーニングとは

 予防活動のトレーニングの提案、講演の際にこんな質問を受ける事があります。

 

 Aさん「日頃、認知症予防の為に、クロスワードを1日2時間ほどしていますが、これで認知症にかからないですか?」
 Bさん「私は認知症予防には学習療法が効果的と聞き、毎日、1時間ほど学研の計算ドリルを行っています。これで予防は出来ていますか?」

 Cさん「私は今後、認知症予防を行っていこうと思いますが、何から始めればいいですか?」

 

 私からAさんに対する返答は
クロスワードだけでは、認知症予防としては不十分ですよ」
 私からBさんに対する返答は
「計算ドリルだけでは、認知症予防としては不十分ですよ」
 私からCさんに対する返答は
「脳機能Cさんの脳機能の中の苦手な部分を中心に取り組めばいいですよ」
と説明させてもらいます。

 

 返答の理由は、病院や教習所の認知症テストで調べられる内容は、生活で使われる主だった下記の5つの脳機能だからです。

1 記憶力

2 言語能力 
3 判断能力  
4 計算力
5 遂行力

 (1~5の能力については今後、詳しく記事を書いていきたいと思います。)

 

 つまり、質問に対する返答の意味としては、クロスワードで鍛える事ができる、脳機能は言語能力や判断力であり。学習力法で鍛えられる脳機能は、計算力や判断力といった部分になります。何から始めるべきかはこの5つの能力の中で、自分の年齢の平均値より、低い能力からトレーニングをすることがお勧めですという意味になります。

 

 そして、「自身の年以上に脳機能が低下しているか?否かは?」はこの認知症テストにおける5つの脳機能の合計得点で判断される為、一つの能力に偏ったトレーニングではテストに落ちる可能性が高いと言う事です。

 

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っえ!5科目の合計点で判断するの?


 本日のポイント


脳機能は細胞レベルでは脳細胞数(ニューロン)×結合数(シナプス)で変わります。
脳機能の低下の有無は、記憶力、言語能力、判断力、計算力、遂行力の合計値で判断される。

 

 脳機能の低下を防ぐためには、低下のメカニズムを知ることや、認知症テストの問題構成の意味を知り対応する必要があります。この事実をを知っていれば、受験勉強の様に自分の苦手な科目への、勉強意欲も湧いてきます。

 

 今までの認知症予防は一般的に、脳にいいことを全般的に行いましょうという、事業所が殆どでしたが、これからは自分の苦手な脳機能に積極的に予防を行う事が重要になってくると思います。

 

 この記事を読んで頂いた方々の予防に対する考え方が、少しでも明確になれば幸いです。今後も脳機能の種類別のトレーニング方法や、人間の脳の仕組みなどについて詳しく、記事を書き進めていきたいと思います。

 次回は認知症(症候群)予防のもう一つのテーマ!「生活に何らかの支障がある状態にならない事」をテーマに記事を書きたいと思いますので是非、続きもお読み下さい。

 

(必見)専門職しか知らない認知症の「支障」についての判断基準!

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最後まで読んで頂きありがとうございました。